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八重山に行ってきました その2 [その他]

昨日の続きを。台風のため、早めに石垣島に戻ってきました。
時間があったので、竹富町役場へ。
石垣島は石垣市なのですが、竹富町役場も石垣市内にあります。
竹富町は船でしか行き来できない離島の集合で、みんなが集まろうとすると、
船の発着拠点である石垣市に来ざるえないからだそうです。

たまたまこの日、石垣島で地方自治に関するシンポジウムが開催されることを知り、
会場に駆けつけました。
北海道のニセコ町長の逢坂さん、石垣市長、竹富町長のお話を聞くことができました。
これが非常に面白かったので、少し長いですが講演要旨を添付します。

写真は逢坂町長と。

主催のいしがき市民大学の皆さんの打ち上げにも、飛び入りで参加させていただきました。
台風のくれた偶然の出会いに感謝。

■講演メモ■
「住民自治が変える これからの地方」 逢坂ニセコ町長 2004/12/04

町長になった経緯
公務員にはなりたくない→家の事情で仕方なく町役場に就職→役場は想像以上に硬直化
30年前と同じ事務、仕事の中身は効率化されていない

昭和63年、ふるさと創生基金 1億円
マスコミ報道は何に使ったという使い道の報道のみ
問題は、1億のお金を使う時の決定プロセス
首長、職員のみで決める危険性
使い道は、職員の質、市民の質が問われた

市民が果たして行政に積極的に関与できているか?
行政批判だけでなく、行動を

創造性のある仕事をするためには、中央集権は限界がある
中央集権は画一的な基準を守らせるには有効

これからは、自律分散型の地域づくりが求められている

ニセコ町は人口4500人
小さい町だからいい仕事ができないという考えは捨てるべき
小さい町、大きい町であれ、実情にあったことをすれば、高い評価を得られ、全国に伝播する

日本の財政は、このままではやっていけないところまで来ている
全国一律のサービスができない日がやってくる
地域づくりの手法を変えなければいけない

本当の意味での民主主義をいかに機能させるか?
今まではおまかせ民主主義(都合のいい時は役所批判、悪くなると役所にお願いする)

高度経済成長の時代は、価値感がひとつ
今は、価値感が人によって違う
みんなが違ったことを考えているからこそ、決定にいたるプロセスの中で話し合いが必要

地域独自の発意で、地域独自の解決方法を考えていく

先人たちのヒント

19世紀、トクヴィル(フランス) 『民主主義とは自治のことである』
もし私たちに、学校、地域、会社など、うまく治めていくことができれば、
国家自身もうまく治めることができる

ブライス(イギリス)『地方自治は民主主義の学校だ』(民主主義の源泉たる地方自治)
自治のない民主主義はない

永田町や霞ヶ関でなく、この生活している場に自治の現場がある
この町の財政・福祉・教育をうまくやっていくこと

なぜ、民主主義が自治とつながっていくのか。
石橋湛山 自治の肝心なのは、範囲が小さいことだ

自治の場で民主主義のことを考えていく
評論家では、自立した市民にならない
リアリティのあること、現実味のあることを考えていくこと
ゴミや子育ての問題

例えば、先の第160国会の国民年金の問題
国会議員が誰も年金制度を知らなかったことが露呈
年金問題は、地方自治体の職員なら常に接している
国会議員の日常生活との乖離
国会で生活実感をふまえた議論ができていない

自治を活発にするには?
自ら考え、行動すること

しかし、住民は、自分たちの町のことについて
考える元になる情報を持っていない

例えば、「ニセコの福祉についてどう思うか?」
ほとんどの人が情報がなく答えられない

自治を動かす原動力は情報

予算編成の時
住民と意見交換しても、初期には自分の前の道路整備の話ばかり
ニセコ全体として必要な水道整備の話がでてこない
    ↓
職員は、ニセコの道路整備は近隣より進んでいて、水道整備が遅れていることを知っている
しかし、そのことを職員が住民に伝えようとしてきたか?
住民と職員との情報の非対称性
  
職員は、情報をいかに住民と共有するか、を考えるべき

地域の実態をお知らせする、うそをつかない
×申請されたから出す
○雇い主に対して報告義務がある

石垣とニセコの問題は、霞ヶ関では解決しない
まずは、自治の社会で協働のあり方を身につけること

情報のないところに発展はない
わかりやすく身近な言葉で、地域のことが語れるか

すぐには変わらない
実践は小さくていい
具体的にできることをみつけてほしい

例えば、自分の言葉を変えること
お役所言葉である「単費」や「県費」という単語を、分かりやすく言い換える

ニセコの町のこれから

自ら考え、自ら行動する街づくり→住民が税金の使い方を判断できる
農業と観光の町、小さい・美しいがキーワード
ヨーロッパの田舎のような町

補完性の関係
まずは、住民自身が自分でできることをする
次に、個人ではできないことは、近所で考える
次に、近所だけではできないことは、地域で考える
そして、地域だけではできないことは、自治体で考える

×役所はサービスセンター
○できること/できないことを、情報を元に住民に説明できる場

税金の構造は、そもそも不公平なもの
たくさん出す人、出さない人がいて、
少なく出した人がたくさんのサービスを受けている

不公平に税金を配分する権力を役所は持っている
この機能があることが、企業とは違う
この前提は押さえなければいけない

○地域資源
ニセコの資源は人→職員の研修、能力開発トレーニングに費用をかけている

農業と観光を商業で結びつける

例えば、観光協会
今まで、ポスターをつくる、キャンペーンキャラバンをするだけ
効果を測定してこなかった
今度は株式会社にする
観光協会の活動について、収益や効果を数字で測っていく

○職員に求めるもの

1、既成概念の打破
  条件が整っていない(小さい、遠い、狭い)から、変えられないのではない
  世の中を変えていくのは、条件が整っていないところから

2、コミュニケーション能力
  想いを図やデータに置き換え、説明できる

3、できない理由をあげるのでなく、60点できることを実行する
  新しいことへの挑戦を恐れない

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民主主義と自治にこだわる気持ちが、すごく伝わってきて、
地方自治の現場にいるものとして、とても勉強になりました。
60点がとれるなら、実行する。
この言葉にとても勇気がわきました。


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