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大阪市廃止・解体構想は住民投票へ。 [大阪]

 昨日、大阪市議会において「特別区設置協定書」の議案が、維新、公明の両会派の賛成により可決、承認された。大阪府議会で、同議案が賛成されれば、60日以内の住民投票となり、5月17日に大阪市廃止解体を問う住民投票が大阪市内で行われる予定となる。


ネット中継されている大阪市議会での裁決の様子を見たが、自民党、みらい(民主党系)、共産党が反対討論を行った。


自治体の形を大きく変えることになる今回の議案は、議会で全会一致で同意できるものではなく、賛成派、反対派の意見は大きく食い違っている。


このような議会でのコンセンサスも取れないものを、今度は大阪市民に丸投げされる形で住民投票に持ち込まれた。


今日の毎日新聞朝刊で大阪大学の北村亘教授のコメントとして、

「大阪都構想」の設計図は専門的すぎて、住民投票に向かない。住民サービスの選択ではなく、サービスを生みだすための行政システムの選択だからだ。病気を治すのに「どちらの手術方法がいいか選びなさい」と言われるようなものだ。以下、略。」

と紹介されている。


専門的だからこそ、議会での十分な議論、検証が必要だったが、
今までの経緯を見ると、議論をする法定協議会の場で、反対派の野党委員を維新の委員にすべて差し替えたりと、あまりに乱暴な運営をしてきた。


それに反発するように、昨年の大阪市議会において維新を除く会派によって「特別区設置協定書」案は否決された。


ここに至るまでの、法定協を巡る対立の手法、橋下市長の勝手な辞任、無駄な市長選挙、衆議院選挙においての立候補を巡る揺さぶり、すべての政治手法が乱暴すぎるとしか言いようがない。
その極みが、この住民投票だろう。


「どちらの手術がいいか選びなさい」と市民に迫る。
賛成派と反対派は全く言っていることが違う。


どこに真実はあるのか、混乱に陥っている中で
住民投票にかけさえすれば、正当性は担保されるというそのやり方。


政治とは、立場の違う人々と議論し、妥協点を探りながら同意を目指すものではなかったのか。


反対派を敵と位置付け、ケンカや対立ばかりをあおってきたケンカ政治の手法には、いい加減にしほしいというのが正直なところだ。


どこの自治体にもさまざまな課題がある。
今回、維新は二重行政の解消、経済成長を目指しているという。
そのために大阪市を廃止・解体し、5つの特別区に変えることで
実現するという。


議論の主は
イニシャルコスト、初期にかかる費用に見合う効果は
あるのかどうか。
大阪市内24区は、東京23区のような金持ちではない。
貧乏な大阪市を5つに再編したところで、再編効果より、
初期費用がかかるだけだろう。


橋下市長は、この効果は無限大とおっしゃっているが。
大阪市を廃止したところで、経済成長とは関係がない。


二重行政の解消。
これも何をもって二重行政というのか、解決手法は大阪市廃止・解体
であるのかという問いがある。


バブルの時代に、お互いに高いビルを建てあって競ったことがあるのは事実。
だが、今の時代、それはない。


大阪府立図書館と大阪市立図書館があるから二重行政というならば、
47都道府県すべてに、県立図書館と市立図書館があると思うが、
それは二重行政にあたるのか。


専門的図書の収集を都道府県の図書館が行い、各市町村立の図書館と連携するという役割分担ができていれば、これは二重行政にあたらない。
本当に二重行政にあたるものがあったしても、高いイニシャルコストを
払うより、府市で話し合うほうが、よっぽど効率よく解消できるだろう。


本来、効果がわからないものをどちらがいいか選びなさいと
住民投票にかけることが間違いであるが、
これは日程がほぼ決まってしまった。


実は、特別区設置協定書には、5区に分けること、府と市の事務分担、職員の配置、財政のことなどしか書いていないおらず、二重行政の解消の論点や、経済成長の話は書いていない。


なので、誰も説明のしようがない話を決めなければいけないのが
今回の住民投票だ。


誰の言うことを信じるのかを問う住民投票になってしまった。
乱暴な政治手法の果てである。


それも一度やってみてダメだったら、元に戻せばいいということもできない片道切符。


私たちにできることは、事実を伝えていくことだけだ。


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